東京高等裁判所 平成11年(行ケ)183号 判決 2000年4月27日
原告 株式会社ダイセイコー
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 木内二朗
同弁理士 B
被告 株式会社エス・エス・アイ
代表者代表取締役 C
訴訟代理人弁理士 D
訴訟復代理人弁護士 井上定明
主文
特許庁が平成9年審判第11457号事件について平成11年4月12日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1 原告
主文と同旨
2 被告
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
第2当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は、「ビッグサクセス」の文字を横書きしてなり、商品区分(平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令の区分による。)第26類の「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品とする商標登録第2193269号商標(昭和62年1月16日に商標登録出願、平成元年11月28日に設定登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。
被告は、平成9年7月9日、商標法50条1項に基づき、本件商標について指定商品「印刷物」に係る商標登録の取消しの審判を請求した。特許庁は、同請求を平成9年審判11457号事件として審理した結果、平成11年4月12日に「商標法50条の規定により、登録第2193269号商標の指定商品中『印刷物』についてはその登録は、取り消す。」との審決をし、その謄本を同年5月26日に原告に送達した。
2 審決の理由
別紙審決書の理由の写しのとおり、原告が本件商標を使用している商品として提示した「ビッグサクセス」の表題を付した冊子4部(審決における乙第1号証及び乙第9ないし第11号証。本訴においては、甲第3ないし第6号証。以下、これらと同一内容、同一態様のものをまとめて「本件冊子」という。)は、これに記載された商品を販売するために不特定多数のものに無料で配布されるというのが自然であるから、原告により販売されていたものとは認め難く、商標法上の商品であるということはできないと認定判断した。
第3原告主張の審決取消事由の要点
審決は、本件冊子について商標法上の商品であることを看過した誤りがあり、また、原告は、本件商標を付した、平成8年度版及び平成9年度版のカレンダー(以下「本件カレンダー」という。)及び吹矢に関するガイドブック(甲第9号証及びこれと同一内容、同一態様のもの。以下、これらをまとめて「本件ガイドブック」という。)を販売していた事実があるから、審決は違法として取り消されるべきである。
1 本件冊子について
(1) 本件冊子は、発行順に、平成6年2月発行の第1巻第2号、平成7年4月発行の第2巻第4号、平成8年5月発行の第3巻第5号、平成9年7月発行の第4巻第7号の四つに分けられる。原告は、当初は、本件冊子を10店舗以上ある原告の店舗等において定価100円の商品として店頭販売していたが、店頭での売れ行きが芳しくなかったため、順次ダイレクトメール等として使用する部数を増やし、平成9年7月発行の第4巻第7号のときには、ほぼ全部数ダイレクトメールとして使用するに至った。
(2) 本件冊子は、定価100円に相当する価値を有する商品としての体を備えており、十分販売でき得る商品であるから、仮に現実には販売されていなかったとしても、商標法上の商品というべきである。
2 本件カレンダーについて
原告は、本件商標を付した本件カレンダーを、東京都墨田区<以下略>の有限会社小山商店に発注してそれぞれ1万部製作し、定価300円で販売した。
平成8年版は、平成7年10月から平成8年1月まで、<1>千葉県市川市<以下略>のダイセイコー市川店、<2>石川県加賀市<以下略>内のダイセイコー加賀店、<3>埼玉県浦和市<以下略>のダイセイコー南浦和店、<4>横浜市<以下略>のダイセイコー戸塚店、<5>千葉県君津市<以下略>のダイセイコー君津店、<6>栃木県小山市<以下略>のダイセイコー小山店、<7>埼玉県新座市<以下略>のダイセイコー志木店、<8>新潟県両津市<以下略>のダイセイコー両津店、<9>新潟県佐渡郡<以下略>のダイセイコー佐和田店、<10>静岡市<以下略>のダイセイコー手越店、<11>埼玉県新座市<以下略>のトライアンフ新座店、<12>世田谷区<以下略>のトライアンフ明大前店において、平成9年版は、平成8年10月から平成9年1月まで、上記<1>~<12>の各店舗及び東京都葛飾区<以下略>京成高砂駅ラチ外コンコースのトライアンフ高砂店において、それぞれ販売したものである。
3 本件ガイドブックについて
原告は、本件商標を付した本件ガイドブックを平成8年3月30日付けで出版し、定価300円(税込み315円)で販売して本件商標を使用していた。本件ガイドブックは「吹矢ダーツセット」に組み入れられているが、吹矢をする購入者がセットで購入することも、単独で購入することもできる商品である。
第4被告の反論の要点
1 本件刊行物について
(1) 原告は、審判事件答弁書において、「ビッグサクセス」の創刊号から第4巻7号までのすべて、すなわち本件冊子のすべてを健康関連商品のPR用ダイレクトメールとして作成し、発送したとしか解釈できない主張をしたほか、審判事件答弁書(第2回)、本訴準備書面(第1回)でも単独では有償販売していないという趣旨の主張をしている。原告が本件冊子を販売していたという主張は、信用できない。
(2) 本件冊子は、もともと、社会通念上販売可能と認められるようなものではない。
また、その点は問わないとしても、現に、ダイレクトメールとして無料で配布していたという事実から、商標法上の商品であることが否定されるべきものである。
2 本件カレンダーについて
(1) 原告は、審判時には、本件カレンダーを提出していない。仮に、審判請求時に本件カレンダーが販売の対象となったものとして存在していたのであれば、原告はこれを審判に提出していたはずであるから、本件カレンダーは審決後に捏造されたものと考えるほかない。
(2) 本件カレンダーは「一枚のペラ」であり、サイズも小さく貧相で、デザイン価値も低く、商品価値も低い。これらは、宣伝配布用のような無料で配布するもの以外ではあり得ない。
平成8年版のカレンダーは、カレンダー製作者の系列事業所名や系列会社刷込み用の白場を残して印刷されている。このようなものを、このまま販売することも、この白場に会社名を印刷して販売することも到底考えられない。
3 本件ガイドブックについて
(1) 原告は、審判時には、本件ガイドブックを提出していない。仮に、審判請求時に本件ガイドブックが販売の対象となったものとして存在していたのであれば、原告はこれを審判に提出していたはずである。
本件ガイドブックは、中ページは簡易オフセット印刷で、原本から写真製版で複写して印刷したものであるものの、表、表紙裏及び裏表紙の文字はコピー機を通したものであり、しかも表紙の小口だけは、カッターナイフで裁ったと思われる痕があるから、手作りのものとしか考えられない。販売する出版物を手作りするというのは、常識では考えられないことである。
原告のホームページには、スポーツ吹矢ダーツセットの広告があり、そのセットの中に「FUKIYA DART ガイドブック」があるが、そこには「ビッグサクセス」の記載はない。本件ガイドブックには、「ビッグサクセス」の記載がなかったものを、審判請求後に急遽表紙だけを手作りで取り替えたものである疑いがある。
(2) 本件ガイドブックが捏造されたものではないとしても、原告は、これをスポーツ吹矢ダートセットを構成する一つとして販売しているものである。したがって、本件ガイドブックは、単独では販売していない附属品であるから、これを商標法上の商品とすることはできない。
また、本件ガイドブックは、セットとして販売したか、又は吹矢ダーツを購入した特定の人にのみ販売したかのいずれかである。セットとして販売したのなら、商品「書籍」の販売ではない。吹矢ダーツを購入した特定の人にのみ販売したのなら、一般市場で流通に供されることを目的として生産され、又は取引きされる「商品」書籍の販売ではない。
(3) 本件ガイドブックにおける「ビッグサクセス」は、著作物の題号としての使用であって、出所表示機能を表すような使用ではないから、商標としての使用ではない。
第5当裁判所の判断
1 まず、本件ガイドブックについて判断する。
(1) 平成11年8月22日には、原告のインターネット上のホームページに、原告が「スポーツ吹矢ダーツ・セット」を消費税込み2万9732円で販売しており、セット中に「FUKIYA DARTガイドブック」が含まれていることが表示されていた(乙5)。また、原告は、平成11年7、8月ころには、吹矢ダーツセットを販売するに当たり、「発売元/ビッグサクセス」、「使用方法・・・<7>詳細につきましては、別冊のFKIYA DARTガイドブックをご覧下さい。」と記載された取扱い説明書を使用していた(乙15、弁論の全趣旨)。
本件ガイドブックの表紙に記載された文字が、「ビッグサクセス FUKIYA DART ガイドブック」であることは明らかであり、これは、「ビッグサクセス」の「FUKIYA DART ガイドブック」という意味に理解することができる。
以上の事実によれば、原告は、平成11年7、8月ころには、本件ガイドブックないしこれと同内容、同表題のガイドブックを、吹矢ダーツセットの一部として販売していたことが認められる。
(2) 本件ガイドブックの奥付には、「一九九六年三月三十日発行 発行 株式会社ダイセイコー 発売 株式会社ダイセイコー・・・印刷 平和堂印刷株式会社 定価 三百円」との記載があるから、本件ガイドブックは、平成8年3月30日ころ発行されたものと認められる(甲9)。
(3) 以上の事実によれば、原告は、平成8年3月30日ころから、本件ガイドブックを吹矢ダーツセットの一部として販売していたものと推認される。
2 もっとも、被告は、<1>原告は、審判時には、本件ガイドブックを提出していない、<2>本件ガイドブックは、中ページは簡易オフセット印刷で、原本から写真製版で複写して印刷したものであるものの、表、表紙裏及び裏表紙の文字はコピー機を通したものであり、しかも表紙の小口だけは、カッターナイフで裁ったと思われる痕があるから、手作りのものである、<3>原告のホームページには、スポーツ吹矢ダートセットの広告があり、そのセットの中には、「FUKIYA DART ガイドブック」があるものの、「ビッグサクセス」の記載はない、との理由をあげ、本件ガイドブックは、審判請求後に表紙だけが手作りで取り換えられて作られたものであると主張するので、検討する。
(1) 本件冊子及び本件カレンダーの頒布・配布が有償であるか否か、及び、これらが商標法2条3項1号の「商品」に該当するか否かはともかくとして、原告は、平成6年ころから平成9年7月ころにかけて本件冊子を出版・頒布し、これに本件商標を付しており、また、平成7年末ころから平成9年初めころにかけて本件カレンダーを配布し、これに本件商標を付していた(甲3ないし8、20の1~4、証人E)。このように、原告は、本件商標を本件冊子や本件カレンダーに付し、これらを頒布・配布していたのであるから、原告が本件ガイドブックにも本件商標を付していたとしても、何ら不自然ではない。
(2) 前記<1>の点について
原告は、審判事件において、平成9年12月19日付け答弁書で「片仮名文字の『ビッグサクセス』表示のパンフレット(判決注・本件冊子を指す。)を、健康関連商品のPR用ダイレクトメールとして、販売の目的を持って作成し、平成6年2月1日に創刊号を発行し・・・日本国内において使用してきた。」と主張し、その後、平成10年7月7日付け審判事件答弁書(第2回)で、「請求人が『ダイレクトメールは、・・・無償で頒布するものであるから、商標法上の商品でないこと明らかである。』と主張するが、登録商標を付した商品を譲渡するとは、『有償・無償を問わず商品を他人に移転する行為をいう。』と定義付けられている。従って請求人の主張は妥当でない。」、「被請求人は、・・・定期刊行物(判決注・本件冊子を指す。)を、・・・店頭に陳列し・・・販売してきた事実がある。」と主張した(乙1、11)。一方、審決は、これを採用せず、本件冊子は、無料で配布されるものであるから、商標法上の商品に当たらないとした。しかし、審決のこのような見解に対しては、「本質的には商品たりうるものを無償譲渡(贈与)する場合、商品と見るべきかどうかは難しい問題たるを失わない。たとえば、・・・会社等が・・・手帖、カレンダー、手拭等を配る場合、それらの手帖等は、ここにいう商品であろうか。・・・いずれを正説とするか、消極説が実際的のようにも見えるが、いずれも、いまのところ、決め手に欠けるようである。」(F・商標法雑感44~45頁)とか、「特定商品の広告宣伝のために配られるパンフレット、ちらし等の宣伝文書は、取引の目的物とはいい難く交換価値もないので商品に含まれないとする判例もあり・・・同様の理由から広告宣伝用のために配られるマッチ・・・等も商品でないとする見解もある。しかし、これらの物品が単独で取引の対象となりえないと解すること自体取引の実情に反する・・・右物品も商標を付すべき商品に含まれると解すべきである。」(G編・商標法50講(改訂版)20頁(G執筆))とかという見解もある。
以上の事実に照らせば、原告が、審判時に本件ガイドブックを提出していなかったことをもって、直ちに、本件ガイドブックが審決後に捏造されたものと推認することはできない。
なぜなら、原告が、審判の時点では、無料で配布される物であっても商標法上の商品であるとの見解に立って本件冊子が商標法上の商品であると考え、また、そうでないとしても本件冊子に「定価100円」との記載があることなどから販売もしていた事実が認められるものと考え、有利な審決を期待していたところ不利益な審決を受けたため、本件冊子以外の本件商標が付されている物を探したところ、本件カレンダーや本件ガイドブックを見出したので、これを本訴において提出した、ということも十分にあり得ることだからである。特に、本件カレンダーは、前認定のとおり、平成7年末ころから平成9年初めころにかけて配布されていた物であるから、これが審判時に提出されなかったことは上記の可能性が高いことを裏付けるものというべきである。
(3) 前記<2>の点について
証人Hは、本件ガイドブックが手作りである理由について、(イ)内容については先に出版されている「スポーツ吹矢健康法」の本から抜粋し、表紙については別に作って製本したためであること、(ロ)当初は上記「スポーツ吹矢健康法」の本の購入者が吹矢ダーツの用具を購入するというものであったところ、用具を使うときに上記本が厚くて不便であるからガイドブックがほしいという要望があったり、本を買わないで吹矢ダーツの用具を購入する者がいたため、ガイドブック制作の必要性に気付き急いで少部数を作成したためであると証言する。この証言の内容については疑問がなくはないものの、虚偽とも断じがたい(甲17、18、証人H)。
(4) 前記<3>の点について
平成11年8月22日には、原告のインターネット上のホームページに掲載されたスポーツ吹矢ダーツ・セット中には、「FUKIYA DARTガイドブック」との記載しかないけれども、この時点では、上記セット中には、本件ガイドブックと同内容、同表題のガイドブックが含まれていたことは前認定のとおりである。
(5) 平成7年末ころの原告の会社紹介のパンフレットには、「実際に楽しめるキットも販売」として、吹矢の用具と「スポーツ吹矢健康法」の本が記載されており、平成7年末ころは、原告は吹矢用具のキット(ただし、平成11年7、8月ころの「吹矢ダーツセット」と比べるとキャリングケースや短い吹矢筒に該当するものがなく、それとは内容が異なるように思われる。)の中に「スポーツ吹矢健康法」の本を入れて販売していたのではないかとも疑われる。しかし、上記記載は平成7年末ころのことであるから、上記記載は、本件ガイドブックが平成8年3月30日ころ発行され、そのころ以後「吹矢ダーツセット」に入れられるに至ったこととは矛盾しない(甲10、乙15)。
(6) 以上の事実を考慮すると、前記<1>ないし<3>の事実は、前記1の認定を覆すに足りるものではない。すなわち、<1>、<3>の点は、前記認定に反するものではない。そして、<2>の点についての原告側の説明には全く疑問がないとはいえないけれども、原告が本件商標を使っていた(商標法上の商品に対して使用していたか否かはともかく)以上、本件ガイドブックにも本件商標が付されていたとしても何ら不自然ではないから、上記の疑問のみをもって、本件ガイドブックの表紙が後から捏造されたものと断ずることはできないのである。
被告の主張は、採用することができない。
3 被告は、本件ガイドブックは「スポーツ吹矢ダートセット」として販売し、単独では販売していない附属品であるから、商標法上の商品ではないと主張する。しかし、他の商品とセットで販売されていることを理由に、それが商標法上の商品でないということはできない。被告の主張が、本件ガイドブックが無償で提供される、いわゆる「おまけ」であるとの趣旨であるとすれば、これを認めるに足りる証拠はない。
4 また、被告は、本件ガイドブックがセットで販売されたのなら、商品「書籍」の販売ではないと主張する。しかし、他の商品とセットで販売されたとしても、それが原告によって販売されている以上、本件ガイドブックは商品「印刷物」である。「書籍」単品での販売であるか「セット」での販売であるかによって、本件ガイドブックが「印刷物」であったりなかったりするものとは解されない。
5 さらに、被告は、本件ガイドブックにおける「ビッグサクセス」は、著作物の題号としての使用であって、出所表示機能を表すような使用ではないから、商標としての使用ではないと主張する。しかし、商標法2条1項1号においては、文言上、出所表示機能を表すような使用であるかないかは問題とされていないから、「ビッグサクセス」の文字が著作物の題号としての使用であるとしても、そのことを根拠として、同号にいう商標の使用ではないということはできないものと解すべきである。すなわち、原告は、業として、商品である本件ガイドブックを生産し、譲渡していたのであるから、その原告が、本件ガイドブックについて、「ビッグサクセス」の横書き文字を付せば、その文字は同号の商標に該当するものと解すべきである。
のみならず、本件ガイドブックにおける題号は、「FUKIYA DART ガイドブック」の部分であって、本件ガイドブックの表紙の文字は、「ビッグサクセス」の「FUKIYA DART ガイドブック」と理解できるものであるから、「ビッグサクセス」の文字に出所表示機能があることは明らかである。
なお、証人Hは、本件ガイドブックの「ビッグサクセス」の文字について、商標として表示したものではない旨証言するけれども、商標法上の商標に該当するか否かは商標法2条1項の定義に該当するか否かによって客観的に決定されるものであって、商標法に通暁しているとは認められない同証人が「商標」(商標法上の商標という意味であるか否かも不明である。)であると思っているか否かによって左右されるものではないから、上記証言は、以上の認定を左右するものではない。
被告の主張は、採用することができない。
6 以上の事実によれば、原告は、本件審判の請求の登録日(甲第2号証の2により平成9年8月6日と認める。)前3年以内に日本国内において、印刷物である本件ガイドブックについて、本件商標の使用をしていたものというべきである。
そうである以上、本件商標が原告により、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る商品について使用されていなかったとした審決の認定判断は、その余について判断するまでもなく結果的に誤りというべきであって、この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
したがって、審決は、違法であって取消しを免れない。
第6以上のとおり、原告の本訴請求は、理由がある。そこで、これを認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山下和明 裁判官 山田知司 裁判官 宍戸充)